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源氏物語/第一巻ーその1/大塚ひかり訳@ボケた頭

読み始めは便所で読んでいたが、寝床で読むのが楽しくなり、そうして第一巻を大体読んだ。第一巻には桐壷、帚木(ははきぎ)、空蝉(うつせみ)、夕顔、若紫、末摘花、紅葉賀(もみじのが)、花の宴、葵、賢木(さかき)である。賢木(さかき)はまだ読んでいない。

桐壷はよく知られているように、光源氏の母、桐壷更衣と桐壷帝のなれそめ、源氏の生まれてから育つまでが書かれている。帚木(ははきぎ)は成人して仲間と語らう雨夜の品定めが中心で、言わば女性談義であるが、その後の光源氏のあれこれの女性との付き合いの伏線になっている、と言うことが今回のこの本をさらさらと読んで分かった。そしてまず最初の女付き合いが空蝉である。大塚ひかりさんによれば、空蝉は著者、紫式部の分身のように見えると言う、そう言われれば、靡くようで靡かない、でも折に触れて、気の利いた歌を交わす、なかなか楽しい役割を与えられている。と言いながら、軒端荻(のきばのおぎ)のように身分を低く見られた女性は酷く好い加減な扱いをされる、と言う冷酷な社会の一面を見せつけ、描写している。
夕顔は光源氏が六条の貴婦人を訪ねる道すがらふと立ち寄ったあばら屋で見染めた女と一夜のみならず過ごしているうちに、貴婦人の生霊、物の怪(もののけ)が現れ、とりつかれて死んでしまう。家来の惟光(これみつ)に上手く始末して貰う。物の怪は六条御息所(みやすんどころ)で、後に正妻の葵上にもとりつく。生きた人間の物の怪は紫式部の独創だとは、大塚ひかりさんの説か。大塚さんは夕顔の死因については極めて冷酷な解釈をしている。湖月抄を紐解いて、謹厳なる諸賢がどう解釈しているか・・・?
・・・今日はここまで。
by cassiopeam101 | 2009-02-17 14:49